「新NISAを始めたいけど、損するのが怖い…」「もし元本割れしたらどうなるの?借金になったりしない?」そんな不安から、第一歩を踏み出せないでいませんか。
巷で聞くNISA貧乏とは何なのか、という疑問や、将来暴落する可能性を考えると、心配になるのは当然のことです。
すでに始めた方の中にも、積立nisaがマイナスになってるのを見て、このままマイナスが続くのではないかと焦りを感じているかもしれません。
特に、新nisaでマイナスになる損する確率が10年後にはどれくらいなのか、具体的な数字を知りたいと思う方も多いでしょう。
この記事では、そうしたNISAにまつわるお金の不安を一つひとつ解消していきます。
元本割れする確率を実際のデータで確認し、そうなった場合の正しい対処法、そしてリスクを抑えながら安心して資産を育てるためのコツを、分かりやすく解説します。
- NISAで元本割れしても借金にはならない明確な理由
- 実際のデータで見る、10年後・20年後に元本割れする確率
- 資産がマイナスになった時や、暴落時に絶対やってはいけないこと
- 元本割れのリスクを限りなくゼロに近づけるための3つの基本戦略
積立・新nisa元本割れでマイナス借金するというのは本当か?損する確率を10年後まで検証
この記事のポイント
- 元本割れしたらどうなる?借金のリスクは
- NISAで元本保証の商品は買えるのか?
- 巷で聞く「NISA貧乏」とは何なのか?
- 積立nisaがマイナスになってる、マイナスは続く?
- NISAで暴落する可能性と過去の事例
元本割れしたらどうなる?借金のリスクは
NISAで投資を始める際に最も心配されるのが「元本割れ」でしょう。元本割れとは、投資した金額よりも、その時点での資産の価値が下回ってしまう状態を指します。
例えば、100万円投資した資産が90万円に値下がりした場合、10万円の元本割れとなります。
では、元本割れが起きたら、追加でお金を支払ったり、借金を背負ったりすることはあるのでしょうか。
この問いに対する答えは、明確に「いいえ」です。NISAで取引できるのは、自分自身が用意した資金の範囲内で行う「現物取引」に限られています。
そのため、資産価値がどれだけ下がったとしても、投資した金額以上に損失が膨らむことはなく、借金になるリスクは一切ありません。
もちろん、どこかからお金を借りてきて投資資金に充てていた場合は、元本割れすればその借金だけが残る可能性はあります。
しかし、それはNISA制度そのもののリスクではありません。したがって、NISAは必ず生活に影響のない「余裕資金」で行う、という基本さえ守っていれば、借金を心配する必要はないのです。
NISAで元本保証の商品は買えるのか?
「元本割れのリスクが怖いなら、NISAで元本が保証されている商品を買えばいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、残念ながら現在のNISA制度(つみたて投資枠・成長投資枠)の対象商品に、銀行の定期預金のような元本保証の商品は含まれていません。
NISAは、あくまで国民の「投資」を非課税という形で応援するための制度です。投資である以上、リターンが期待できる反面、価格が変動するリスクは必ず伴います。
もし、どうしても元本割れのリスクを一切受け入れたくない、という場合は、NISAでの資産運用は慎重に考えるべきかもしれません。
しかし、後述するように、NISAで選べる商品の中にもリスクの大きさには幅があり、また、投資方法を工夫することで元本割れする確率を限りなく低くすることは十分に可能です。元本保証がないからといって、すぐに諦める必要はありません。
巷で聞く「NISA貧乏」とは何なのか?
インターネットなどで時折見かける「NISA貧乏」という言葉に、不安を感じる方もいるかもしれません。この言葉は、明確な定義があるわけではありませんが、主に2つの状況を指していると考えられます。
一つは、生活に必要な資金までNISAに投じてしまい、日々の暮らしが苦しくなってしまうケースです。
NISAはあくまで余裕資金で行うべきものであり、生活費や近い将来に使う予定のあるお金を投資に回すのは非常に危険です。
急な出費に対応できず、結局NISAを損失が出ている状態で売却せざるを得なくなり、結果として貧しくなってしまう、というパターンです。
もう一つは、短期的な値動きに一喜一憂し、不適切な売買を繰り返してしまうケースです。
価格が少し下がっただけで慌てて売り(狼狽売り)、少し上がると焦って買う(高値掴み)といった行動を繰り返すことで、手数料だけがかさみ、資産が徐々に目減りしていく状況です。
これらの「NISA貧乏」は、NISA制度そのものに問題があるのではなく、利用者自身の計画性のなさや、投資の基本原則から外れた行動が原因で起こります。
余裕資金で、長期的な視点を持って臨む限り、過度に恐れる必要はないと言えるでしょう。
積立nisaがマイナスになってる、マイナスは続く?
NISAで積立投資を始めてみると、多くの方が早い段階で資産評価額が投資額を下回る、つまり「マイナス」の状態を経験します。
特に、全世界株式のような投資信託で始めた場合、過去のデータでは投資を始めた翌月に資産がマイナスになっている確率は約37.8%にも上ります。
「始めたばかりなのに、もうマイナスになってしまった…このままマイナスは続くのだろうか」と不安になる気持ちはよく分かります。しかし、これは長期的な積立投資においては、ごく自然な、むしろ当たり前の現象です。
投資信託の価格は日々変動しており、昨日より今日、今日より明日と一直線に上がり続けることはあり得ません。
必ず上がったり下がったりを繰り返しながら、長期的に見て少しずつ成長していくのが一般的です。
そのため、始めた直後のマイナスは、将来の資産形成の成否とは全く関係ありません。
むしろ、価格が下がっている時期も積立を続けることで、同じ金額でより多くの口数を安く購入できている、と前向きに捉えることが大切です。
マイナスが続くかどうかを短期的な視点で心配するのではなく、長期的なゴールを見据えて淡々と続ける姿勢が求められます。
NISAで暴落する可能性と過去の事例
NISAで投資を続ける上で、市場全体が大幅に値下がりする「暴落」は避けては通れないイベントです。
過去30年間を振り返っても、ITバブルの崩壊(2000年代初頭)、リーマンショック(2008年)、コロナショック(2020年代初頭)など、世界経済は何度も大きな暴落を経験してきました。
これらの暴落時には、S&P500のような米国の主要な株価指数でさえ、一時的に価値が約半分(-50%程度)になることもありました。
NISAで投資している商品も、当然ながらこのような暴落の影響を受け、資産価値は大きく目減りします。
このように言うと、非常に怖いことのように聞こえるかもしれません。
しかし、もっと重要な事実があります。それは、過去の歴史において、世界経済はどのような大暴落からも必ず回復し、長期的には右肩上がりに成長を続けてきたということです。
例えば、リーマンショックやITバブル崩壊といった深刻な金融危機の後でも、市場は5〜6年という期間をかけて元の水準まで回復し、その後さらに高値を更新していきました。
この歴史が教えてくれるのは、暴落はいつか必ず起こるものの、それは世界の終わりではなく、長期的な成長の過程における一時的な調整である、ということです。
この事実を理解しておくことが、暴落への最大の備えとなります。
新積立nisaで損する確率、10年の元本割れと対策
- 新nisaでマイナスになる損する確率、10年後は?
- データで見る20年後の元本割れ確率
- 暴落はむしろ「安く買うチャンス」になる
- 元本割れ確率を下げる長期・積立・分散
- 暴落時に笑顔でいるための心構えとは?
新nisaでマイナスになる損する確率、10年後は?
「10年間、真面目に積み立てても損する可能性はあるの?」これは非常に気になるポイントです。
この問いに対する答えは、「はい、10年という期間でも、投資を始めるタイミングによっては元本割れし、損する可能性はゼロではありません」となります。
例えば、米国の優良企業500社(S&P500)に投資した場合の過去データ(1950年〜2017年)を見ると、10年間の投資では、最も運が悪かったケースで年率-4.1%のリターンだったという記録があります。
これは、10年間持ち続けた結果、資産が元本よりも減ってしまったことを意味します。
ただし、これはあくまで「最悪のケース」です。同じ10年間の投資でも、最も運が良かったケースでは年率+20.1%という高いリターンを記録しており、平均すれば十分にプラスのリターンが期待できます。
重要なのは、10年という期間は、長期投資の世界ではまだ「道半ば」であるということです。
元本割れの可能性が残る一方で、大きなプラスになる可能性も十分にあります。この不確実性を理解した上で、少なくとも10年は続けるという覚悟を持つことが、NISAを始める上での一つの目安と言えるでしょう。
データで見る20年後の元本割れ確率
では、投資期間をさらに延ばして20年にすると、元本割れの確率はどうなるのでしょうか。
ここで、希望の持てるデータがあります。
金融庁が公表している資料によると、国内外の株式と債券に均等に分散投資し、20年間積立を続けた場合、過去のどのタイミングで始めていたとしても、元本割れしたケースは一度もありませんでした。
このデータでは、20年間の運用成果は年率+2%〜+8%の範囲に収まっており、全員がプラスのリターンを得られたという結果になっています。
もちろん、これは過去の実績であり、未来の成果を保証するものではありません。
しかし、投資期間を20年という長期に設定することで、元本割れの確率を限りなくゼロに近づけられる、という歴史的な事実は、これからNISAを始める私たちにとって非常に心強いデータです。
このことから、NISAで損をするリスクを本質的に下げる最も確実な方法は、「20年以上は引き出さない」という覚悟で、長期的な視点に立つことであると言えます。
暴落はむしろ「安く買うチャンス」になる
多くの人が恐怖を感じる「暴落」ですが、毎月一定額を積み立てる投資家にとっては、実は「資産を増やす絶好のチャンス」に変わり得ます。
積立投資は、価格が変動する商品を定期的に定額で購入し続ける手法です。
この手法の最大のメリットは、価格が安いときには同じ金額で多くの口数を、価格が高いときには少ない口数を自動的に購入できる点にあります。
これを「ドルコスト平均法」と呼びます。
暴落が起きると、投資信託の価格は大きく下落します。
これは、普段よりも「安い価格」で投資信託をたくさん仕込める「バーゲンセール」の期間と捉えることができます。
このバーゲンセール期間中も積立を続けることで、平均購入単価を効果的に引き下げられます。
そして、その後に市場が回復し、価格が上昇した局面では、安くたくさん買っておいた分が大きな利益を生み出してくれるのです。
暴落時に怖くなって積立をやめてしまったり、売ってしまったりする人は、この最大のチャンスを自ら手放していることになります。
元本割れ確率を下げる長期・積立・分散
これまでの解説をまとめると、NISAで元本割れの確率を限りなく下げるための方法は、投資の王道と言われる3つの基本原則に集約されます。
元本割れを下げる方法
- 長期投資
前述の通り、投資期間を20年以上に設定することで、過去のデータ上、元本割れの確率はほぼゼロに近づきます。日々の値動きに一喜一憂せず、どっしりと構えることが大切です。 - 積立投資
毎月コツコツと定額を投資し続けることで、購入タイミングが自動的に分散されます。
これにより、高値掴みのリスクを避け、暴落時を「安く買うチャンス」に変えることができます。 - 分散投資
投資先を一つの国や資産に集中させず、「全世界株式」のように、世界中の様々な国や地域の株式に広く分散された投資信託を選ぶことが重要です。
「卵は一つのカゴに盛るな」という格言の通り、分散することで、特定の地域が不調に陥った場合のリスクを緩和できます。
この「長期・積立・分散」をNISAで実践することが、元本割れのリスクをコントロールし、安心して資産を育てていくための最も確実な方法です。
金融庁分散投資について。 引用:金融庁
暴落時に笑顔でいるための心構えとは?
「長期・積立・分散」が有効だと頭で分かっていても、実際に自分の資産がマイナスになると、冷静でいるのは難しいものです。
そこで、暴落時に笑顔でいる、あるいは少なくとも冷静でいるための心構えをいくつか紹介します。
一つは、「投資しているお金は、なかったものと思う」ことです。NISAで投資するのは、あくまで当面使う予定のない余裕資金です。
このお金は、20年後の未来の自分への仕送りだと考え、日々の生活とは切り離してしまうと、短期的な値動きが気にならなくなります。
もう一つは、「定期的に口座を見すぎない」ことです。毎日評価額をチェックしていると、どうしても小さな変動に心が揺さぶられます。
積立設定をしたら、あとは基本的に放置し、確認するのは年に1〜2回程度に留めるのが、精神衛生上おすすめです。
そして最後に、「なぜ投資を始めたのか」という目的を思い出すことです。
そのほか、先によくあるNISAの失敗例を見て、備えておくことも大切です。
つみたて投資枠よくある失敗例5つの対処法や銘柄選びのポイント
引用元:京都銀行
「30年後の豊かな老後のため」といった長期的な目標を再確認すれば、目先の数年間のマイナスは、ゴールまでの道のりにおける小さな障害に過ぎないと思えるようになるはずです。
積立・新nisa元本割れで借金?損する?マイナスになる確率を10年先まで検証の総括
この記事では、新NISAの元本割れに関する様々な疑問にお答えしました。最後に、重要なポイントを改めて整理します。
- NISAで元本割れしても投資額以上に損することはなく、借金にはならない
- NISAの対象商品に元本保証のものはない
- 「NISA貧乏」は、余裕資金で長期投資をする基本を守れば避けられる
- 投資を始めた直後にマイナスになるのはごく自然なこと
- 歴史的に見れば、市場はどのような暴落からも必ず回復してきた
- 10年間の投資では元本割れの可能性は残る
- 20年間の長期投資をすれば、過去のデータ上、元本割れの確率はほぼゼロになる
- 暴落は、積立投資家にとっては「安く買うチャンス」である
- 元本割れ確率を下げる鍵は「長期・積立・分散」の実践
- 投資しているお金は「未来への仕送り」と考える
- 口座の評価額は頻繁に見すぎないことが精神安定のコツ
- なぜ投資を始めたのか、という長期的な目標を忘れない
- 余裕資金の範囲で、無理なく続けることが何よりも大切