戸建て賃貸経営は失敗しがちで儲からない?デメリットと投資の現実

戸建て賃貸経営に興味を持って色々と調べていると、どうしても失敗したくないという不安がよぎりますよね。

ネット上には戸建て投資は儲からないとか、やめとけといったネガティブな意見も散見されますし、実際に多額のローンを組んで後悔している人の話を聞くと怖じ気づいてしまう気持ちもよく分かります。

特に初心者のうちは、空き家を活用したリスクの低い運用方法や、具体的な維持費がどれくらいかかるのかといったリアルな数字が見えにくいため、難しいと感じてしまうのも無理はありません。

しかし、デメリットやリスクを正しく理解し、適切な初期費用でスタートできれば、戸建て賃貸は決して怖いものではないんです。

今回は、私自身の経験も踏まえつつ、戸建て賃貸経営の現実と、堅実に資産を築くためのポイントについてお話しします。

この記事のポイント

  • 戸建て賃貸経営が「儲からない」と言われる最大の理由とリスク
  • 修繕費や維持費が利益を圧迫する具体的なケース
  • 長期入居と希少性を活かした堅実な投資戦略
  • 住宅ローンを活用して失敗を防ぐ「ヤドカリ投資」のメリット

 

戸建て賃貸経営の失敗やデメリットと投資が儲からない訳

正直なところ、「戸建て投資なら誰でも簡単に儲かりますよ!」なんて無責任なことは言えません。

むしろ、安易に手を出すと痛い目を見る可能性も十分にあります。

まずは、なぜ世間一般で「戸建て賃貸経営は失敗する」「儲からない」と言われているのか、そのリアルなデメリットやリスクについて、包み隠さずお話ししていきますね。

 

1戸のみ運営による空室リスクと収入ゼロの恐怖

1戸のみ運営による空室リスクと収入ゼロの恐怖

戸建て賃貸経営における最大のリスク、それは間違いなく「空室=収入ゼロ」という点です。

アパートやマンションを一棟買いする場合、例えば10部屋あれば、そのうち2部屋が空いても残り8部屋分の家賃が入ってくるので、ローンの返済や維持費をカバーできますよね。

でも、戸建ての場合は基本的に「1入居者」のみです。

入居者が退去してしまった瞬間から、次の入居者が決まるまでの間、家賃収入は完全にストップします。

収入が途絶えている間も、固定資産税などの税金や、もしローンを組んでいれば毎月の返済は待ってくれません。

この「0か100か」という収益構造の不安定さが、戸建て投資が敬遠される大きな理由の一つなんです。

注意ポイント

自己資金に余裕がない状態で、ギリギリのローン返済計画を立てていると、たった一度の退去で資金繰りがショートしてしまう可能性があります。

 

修繕費や維持費が高額になり利益を圧迫する可能性

修繕費や維持費が高額になり利益を圧迫する可能性

戸建ては、マンションの区分所有(一室投資)などに比べて、オーナーが管理すべき範囲が広いです。

マンションなら外壁や屋根、共用部の管理は管理組合(修繕積立金)で行いますが、戸建ての場合はすべてオーナーの自己責任になります。

例えば、外壁塗装や屋根の修繕が必要になった場合、一撃で100万円単位の出費になることも珍しくありません。

また、意外と見落としがちなのが「庭」の管理です。

入居者がマメな方なら良いですが、放置されて草木が伸び放題になり、近隣からクレームが来て業​​者を入れる…なんてことになれば、その費用もバカになりません。

こうした突発的な修繕費や維持費を計算に入れておかないと、表面上の利回りは良くても、最終的に手元に残るお金(キャッシュフロー)がほとんどない、なんてことになりかねないんです。

「では、具体的にどれくらいの資金を用意すれば安全にスタートできるのか?」と不安に思った方は、以下の記事で初期費用や資金調達の目安を確認しておきましょう。資金ショートのリスクを事前に回避できます。

 

新築戸建て投資は利回りが低く儲かりにくい現実

「修繕費が怖いから、新築の戸建てで投資を始めよう」と考える方もいるかもしれません。

確かに新築なら当面の間、修繕のリスクは低いですし、ピカピカなので入居者も決まりやすいでしょう。

しかし、投資としての効率(利回り)を見ると、新築戸建ては非常に厳しいのが現実です。

昨今の建築資材の高騰もあり、物件価格(土地+建物)が高くなりすぎています。(参考:国土交通省「建設工事費デフレーター」)

その一方で、家賃相場というのは新築だからといって極端に高く設定できるわけではありません。

結果として、投資額に対するリターンが小さくなり、「ローンを返済したら毎月数千円しか残らない」あるいは「毎月赤字で、将来の売却益頼み」という、非常にリスクの高い状態に陥りやすいのです。

 

入居者管理やクレーム対応の手間がかかるデメリット

戸建て賃貸特有の悩みとして、地域コミュニティとの関わりがあります。

アパートやマンションなら管理会社がある程度クッションになってくれますが、戸建ての場合は「ゴミ出しのルールが守られていない」「庭木の枝が隣の敷地に入っている」「ペットの鳴き声がうるさい」といった、近隣住民からのクレームが直接オーナーに来ることも少なくありません。

もちろん管理会社に委託することは可能ですが、町内会の役員や掃除当番などの地域ルールに関しては、入居者が協力的でない場合、オーナーが頭を下げて回らなければならないケースもあります。

こうした「人間関係の面倒臭さ」は、数字には表れない隠れたコストと言えるかもしれません。

 

ボロ戸建ての再生はリフォーム費用がかさむリスク

ボロ戸建ての再生はリフォーム費用がかさむリスク

最近流行りの「ボロ戸建て投資」。

数十万円〜数百万円で格安の空き家を購入し、DIYなどで直して貸し出す手法ですね。

上手くいけば高利回りが狙えますが、これはある程度の知識と経験がないと大火傷します。

安く買える物件には、それなりの理由があります。

いざリフォームを始めて壁を剥がしてみたら、柱がシロアリに食われてボロボロだったり、雨漏りで構造材が腐っていたり、配管が全部ダメになっていたり。

こうなると、DIYレベルではどうにもならず、プロに頼んで数百万の追加費用が発生し、結局安物買いの銭失いになってしまう失敗例が後を絶ちません。

 

賃貸需要の少ない立地を選定してしまう失敗例

どれだけ安く物件を買えて、どれだけ素敵にリフォームしても、そこに「住みたい」と思う人がいなければ、投資は成立しません。

戸建ては駅から遠くても駐車場があれば需要がある、と言われますが、それにも限度があります。

過疎化が進んでいて、近隣にスーパーも学校もないような場所や、災害リスクが高いエリアなどは、そもそも賃貸需要自体がほとんどない場合があります。

「安いから」という理由だけで飛びつくと、永遠に入居者が決まらない「負動産」を抱えることになりかねません。

事前のリサーチ不足は、経営の失敗に直結します。

 

戸建て賃貸経営の失敗やデメリットと儲からない投資の対策

ここまでネガティブな話ばかりしてしまいましたが、それでも私が戸建て賃貸経営をおすすめするのには理由があります。

それは、先ほど挙げたリスクをコントロールさえできれば、戸建て投資は非常に手堅く、安定した資産形成の手法になり得るからです。

ここからは、失敗を避けて堅実に利益を出すための対策と、戸建てならではの強みについてお話しします。

 

ファミリー層の長期入居で安定した家賃収入を得る

ファミリー層の長期入居で安定した家賃収入を得る

戸建て賃貸の最大のメリットは、何と言っても「入居期間の長さ」です。

主なターゲットとなるのはファミリー層。

彼らは子供の学区や生活環境を重視するため、一度入居すると、子供が小学校や中学校を卒業するまでの数年間、あるいは10年以上住み続けてくれることが非常に多いのです。

単身向けアパートのように2年ごとに退去と入居を繰り返すことが少ないため、退去時のリフォーム費用や、新しい入居者を募集するための広告費などのコストを大幅に抑えることができます。

空室リスクが怖いと言いましたが、一度入ってしまえば圧倒的な安定感があるのが戸建て投資の魅力なんです。

メリット

長く住んでもらうことで、実質的な利回りは向上します。入居者さんに気に入ってもらえるような環境づくりが、成功への近道ですね。

 

アパートに比べ競合物件が少なく入居付けがしやすい

アパートに比べ競合物件が少なく入居付けがしやすい

賃貸市場を見渡してみるとわかりますが、世の中の賃貸物件の多くはアパートやマンションです。

「子供が走り回っても迷惑がかからない戸建てに住みたい」「大型犬を飼いたい」「駐車場が2台分欲しい」といったニーズを持っている層は確実に存在するのに、それを受け入れられる戸建て賃貸の供給数は圧倒的に少ないのが現状です。(参考:総務省統計局「住宅・土地統計調査」)

つまり、ライバルが少ないということです。

アパート経営だと、同じエリアに似たような新築アパートが建つと家賃競争に巻き込まれがちですが、戸建て賃貸はその希少性から、多少古くても、駅から遠くても、家賃を下げずに選んでもらえる可能性が高いんです。

 

安価な中古物件で初期費用を抑え高利回りを狙う

安価な中古物件で初期費用を抑え高利回りを狙う

新築は儲かりにくいとお話ししましたが、逆に狙い目なのは「適度な中古物件」です。

築20年〜30年くらいの、建物の価値が下がって価格が手頃になった戸建てを購入し、必要な部分だけ綺麗にリフォームして貸し出す。

これが、戸建て投資で最も失敗しにくく、利回りを出せる王道パターンかと思います。

初期費用を抑えることで、万が一空室が出てもダメージを最小限に抑えられますし、将来的に土地値で売却できれば、最終的な収支でもプラスになりやすいです。

ボロすぎず、新しすぎず。このバランスを見極めるのがポイントですね。

具体的にどのような手順で物件を探し、購入からリフォーム、入居付けまで進めればよいのか。初心者が失敗しないための全ステップを以下の記事で図解付きで解説しています。

 

ヤドカリ投資なら住宅ローンを活用し失敗を防げる

投資用ローンは金利が高く、審査も厳しいですが、初心者の方におすすめなのが「ヤドカリ投資」という手法です。

これは、最初は「自分たちが住む家」として中古戸建てを購入し、金利の低い「住宅ローン」を利用します。

数年間自分で住みながら、少しずつリフォームをして家を綺麗にし、ライフスタイルの変化(転勤や家族構成の変化など)に合わせてその家を賃貸に出し、自分たちはまた別の家に移り住むという方法です。

これなら、最初から投資用として買うよりも圧倒的に低金利で資金を調達できますし、自分で住んでみることで家の不具合や住み心地も確認できるため、失敗のリスクを極限まで下げることができます。

まさに、ヤドカリが宿を変えるように資産を増やしていく、賢い方法と言えるでしょう。

 

戸建て賃貸経営の失敗やデメリットと儲からない投資の総括

最後に、これまでの内容を改めて整理しておきます。

戸建て賃貸経営は、アパート一棟買いのような派手なキャッシュフローを生む爆発力はありません。

1戸だけでは空室リスクも無視できないため、決して「誰でも簡単に儲かる不労所得」ではないということを理解しておく必要があります。

戸建て投資を成功させるための心構え

  1. リスクの把握:空室時のリスクや修繕費を甘く見ず、資金計画には余裕を持つこと。
  2. 物件の選定:新築やボロすぎる物件は避け、賃貸需要のあるエリアの適度な中古物件を狙うこと。
  3. 長期視点:ファミリー層の長期入居を狙い、短期的な利益よりも安定性を重視すること。
  4. 差別化:ペット可や駐車場確保など、アパートにはない戸建てならではの価値を提供すること。

まずは小さく始めて、経験を積みながら少しずつ戸数を増やしていく。

そうすることで、リスクを分散させながら、着実に資産を築いていくことができるはずです。

戸建て賃貸は、一発逆転を狙うギャンブルではなく、コツコツと積み上げる「事業」として取り組めば、きっとあなたの強い味方になってくれますよ。

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免責事項

本記事で紹介している投資手法やシミュレーション結果、見解は、執筆者の個人的な経験に基づくものであり、将来の利益を保証するものではありません。不動産投資には空室、滞納、金利変動、災害、資産価値下落などのリスクが伴います。最終的な投資判断は、ご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。また、税務や法務に関する詳細かつ正確な情報は、税理士や弁護士等の専門家にご相談いただくか、関連する公的機関の公式サイトをご確認ください。