
不動産投資を始めようと検索していると、必ずと言っていいほど目にするのが「まずはアパート一棟買いなさい」という書籍の強烈なタイトルフレーズではないでしょうか。
しかし、2025年を迎えた今、本当に資金なしの状態からアパート経営を始めて失敗しないのか、不安に思う方も多いはずです。
マンガ版や要約サイトを見て興味を持ったものの、金利上昇や人口減少が叫ばれる中で、この手法が通用するのかどうか気になりますよね。
この記事では、今の時代だからこそ求められる戦略と、リスクを回避するための具体的なステップについて、私の経験を交えてお話しします。
この記事のポイント
- 市場環境における石原式投資法の有効性金利上昇や人口減少下でも機能する「地方高利回り」のロジックを解説します
- 自己資金300万円から資産を拡大する具体的な手順少額資本からレバレッジを効かせて家賃収入を得る仕組みがわかります
- 失敗しないための物件選定と最新の銀行融資事情今まさに融資を出している金融機関の実名や審査の傾向をお伝えします
- 出口戦略を見据えたリスク管理と運営の極意「買って終わり」ではなく、利益確定(売却)までを見据えた経営視点が身につきます
現時点でも「まずはアパート一棟買いなさい」の手法が有効な理由

石原博光氏の著書「まずはアパート一棟、買いなさい!」は、多くの投資家にとってバイブルのような存在です。
出版から時間が経過し、市場環境は大きく変化しましたが、その本質的な戦略は2025年の現在でも十分に通用すると私は考えています。
ここでは、なぜ今でもこの手法が有効なのか、現代の事情に合わせて紐解いていきましょう。
本書の要約と地方高利回り投資の仕組み
この書籍が提唱する最大のポイントは、競合の激しい都心部を避け、地方の高利回り物件をターゲットにするという点にあります。
都心の一等地のマンションは資産価値が高いものの、利回りが低く、毎月のキャッシュフローが出にくいのが難点です。
一方で地方のアパートは、物件価格が安く、家賃収入に対する利回り(収益性)が高くなる傾向にあります。
石原氏の「お金に色はない」という言葉通り、都心で稼ぐ10万円も、地方で稼ぐ10万円も、手元に残る価値は同じですよね。
特に資産形成の初期段階では、キャピタルゲイン(値上がり益)よりも、毎月確実に現金が入ってくるインカムゲイン(家賃収入)を重視すべきです。
地方物件は空室リスクが高いと言われがちですが、ライバルが弱いエリアであえて勝負し、差別化を図ることで満室経営を実現するのがこの手法の真骨頂といえます。
石原式投資法の核
- 地方×高利回り物件価格を抑えて高い収益性を確保する
- 差別化×高稼働リフォームや設備投資で地域のライバル物件に勝つ
- キャッシュフロー重視毎月の手残り現金を最大化し、次の投資への種銭を作る
マンガ版で理解する不動産投資の流れ

活字が苦手な方や、とりあえず全体像を把握したい方には、マンガ版から入るのも非常におすすめです。
不動産投資は「物件探し」「融資付け」「決済・引き渡し」「リフォーム」「客付け」「管理」といった、非常に多くのプロセスを経る必要があります。
これらを文章だけで理解しようとすると、どうしても難しく感じてしまい、最初の一歩が踏み出せなくなりがちです。
マンガ版では、主人公がボロアパートを購入し、トラブルに直面しながらも満室にしていく様子がリアルに描かれています。
特に、「不動産屋へのアプローチ」や「銀行との面談」といった、初心者が一番緊張する場面のシミュレーションとして役立ちます。
まずは全体の流れをイメージとして掴むことで、実際の行動に移る際の心理的ハードルを下げることができるでしょう。
新版で追加された出口戦略の重要性
古い版と最新版の大きな違いの一つに、出口戦略(売却)への言及が強化されている点が挙げられます。
かつては「持ち続けて家賃をもらい続ける」ことが主流でしたが、現在は建物の老朽化や人口減少(参考:総務省統計局「人口推計」)を見据え、「いつ、いくらで売るか」を最初から考えておく必要があります。
石原氏自身も、所有物件を売却して大きな利益を確定させた実績を持っています。
2025年の市場においては、単に利回りが高いからといって、将来誰も欲しがらないような土地や建物を買ってしまうのは危険です。
「5年後、10年後にいくらで売れるか」をシミュレーションし、家賃収入と売却益のトータルで利益が出るかを判断することが、現代の投資家には求められています。
著者の石原博光氏が説くマインドセット

この本が単なるノウハウ本にとどまらないのは、投資家としての「在り方」を説いているからです。
特に印象的なのは、「大家業はサービス業である」という視点です。
入居者様はお客様であり、私たちは住環境というサービスを提供する事業者である、という意識を持つことが成功の鍵となります。
また、会社に依存せず、自分の力で生きていくための「経済的自由」への渇望も、本書の根底に流れるテーマです。
テクニックだけを真似しても、トラブルが起きた時に心が折れてしまう人は少なくありません。
「なぜ不動産投資をするのか」という目的意識を明確にし、事業主としての覚悟を持つことが、長期的な安定経営につながります。
自己資金300万円で作るキャッシュフロー
「不動産投資は富裕層がやるもの」というイメージがあるかもしれませんが、この手法のターゲットは、年収や自己資金がそこまで多くないサラリーマン層です。
具体的には、自己資金300万円程度を起点として、銀行融資(レバレッジ)を活用して数千万円のアパートを購入します。
例えば、3000万円のアパートを金利2%、期間20年で借り入れたとしても、利回りが15%あれば、返済後に手元にしっかりと現金が残ります。
この「他人の資本(銀行のお金)」を使って資産を増やすスピード感こそが、不動産投資の最大の魅力です。
もちろん、借金をすることへの恐怖はあると思いますが、それは「良い借金」と「悪い借金」の違いを理解することで克服できます。
まずは小さな一棟から始め、実績と現金を積み上げていくことで、最終的には家賃年収1000万円も夢物語ではなくなるのです。
「まずはアパート一棟買いなさい」に記載内容の実践と失敗対策

ここからは、実際に2025年の今、行動に移すための実践的な内容に入っていきます。
理論はわかっても、実際の現場には落とし穴がたくさんあります。
失敗パターンを知り、先回りして対策を講じることで、リスクを最小限に抑えましょう。
アパート一棟買いで失敗しないエリア選定
地方高利回り投資において、最も致命的なミスは「エリア選定の失敗」です。
どんなに立派な建物でも、人が住まない場所では家賃収入はゼロになってしまいます。
特に注意すべきは、特定の施設に依存したエリアです。
大学や大きな工場が一つあるだけの町は、その施設が移転・撤退した瞬間に空室率が跳ね上がり、物件価値が暴落するリスクがあります。
必ず市区町村のホームページで都市計画を確認し、将来的なリスクがないかをリサーチしましょう。
また、近年は自然災害のリスクも無視できません。
ハザードマップ(参考:国土交通省「ハザードマップポータルサイト」)の確認は必須であり、浸水想定区域や土砂災害警戒区域にある物件は、どんなに安くても避けるのが賢明です。
エリア調査のチェックリスト
- 人口動態と需給バランス
賃貸ポータルサイトでの募集件数と、実際の成約状況を確認する - 主要施設の移転計画
大学、工場、病院などの撤退リスクを自治体情報で調べる - 災害リスク(ハザードマップ)
水害、地震、液状化のリスクが低いエリアを選ぶ
金融機関選びと融資攻略法

不動産投資の生命線とも言える銀行融資ですが、2025年は金融機関によって姿勢が大きく分かれています。
メガバンクや地銀の多くは審査が厳格化していますが、一部の金融機関は依然として積極的です。
例えば、オリックス銀行は、築年数などの制限はあるものの、融資期間を長く取れる傾向があり、一棟目の実績作りには適しています。
また、地方物件を狙うなら、徳島大正銀行や香川銀行といった、広域に融資を行う地方銀行も選択肢に入ってきます。
さらに、静岡銀行も特定の属性やスキームには強みを持っています。
自分の住んでいる地域の信用金庫や信用組合に、事業計画書を持ち込んで熱意を伝えるという泥臭い手法も、意外と効果的です。
大切なのは、「貸してくれる銀行」を探すために、諦めずに何十行も回る行動力です。
築古アパートを再生するリフォーム術
安く買ったボロアパートを、いかに低コストで魅力的な物件に再生させるかが、利回りを高める鍵です。
ここで重要なのは、自己満足のリフォームをしないことです。
自分が住みたい家にする必要はありません。
そのエリアのターゲット層(学生なのか、単身社会人なのか、ファミリーなのか)が求めている設備をピンポイントで導入しましょう。
例えば、学生街なら高級なシステムキッチンよりも、無料Wi-Fiや宅配ボックスの方が喜ばれます。
また、アクセントクロスや照明の工夫など、費用対効果の高い「見せ方」で差別化を図るのが石原式のリフォーム術です。
実践者が語るアパート経営の評判と現実

「不労所得」という言葉に惹かれて始めると、その現実の忙しさに驚くかもしれません。
実際には、アパート経営は「不労」ではなく、立派な「事業」です。
突発的な水漏れ事故、入居者同士の騒音トラブル、急な退去連絡など、大家としての対応を迫られる場面は多々あります。
しかし、これらを全て自分でやる必要はありません。
ここで重要になるのが、次に解説する「管理会社」の存在であり、彼らを適切にマネジメントすることこそがオーナーの仕事です。
最初は大変ですが、仕組みさえ作ってしまえば、実働時間は極端に減り、本当の意味での「自動操縦」に近づいていきます。
空室リスクを避ける管理会社選定の基準
地方の遠隔地にある物件を運営する場合、現地の管理会社はあなたの「ビジネスパートナー」です。
管理会社選びを間違えると、空室が埋まらず、建物は荒れ放題になり、投資は失敗に終わります。
選定の際は、管理戸数だけでなく、「客付け(入居者募集)の強さ」と「レスポンスの速さ」を重視してください。
実際に電話をかけてみて、担当者の対応が明るく迅速か、リフォームの提案力があるかを確認しましょう。
また、入居者審査をしっかり行い、トラブルメーカーを入居させないフィルターの役割を果たしてくれるかどうかも重要です。
ダメな管理会社の特徴
- 報告・連絡・相談がない
オーナーから聞かないと空室状況を報告してこない - 空室対策の提案がない
「時期が悪いですね」と景気のせいにして具体的な策を出さない - リフォーム費用が高すぎる
相場とかけ離れた見積もりを出してくる
今こそまずはアパート一棟買いなさいを行動へ
ここまで、2025年における「まずはアパート一棟買いなさい」の実践戦略について解説してきました。
市場環境は厳しさを増していますが、正しい知識を持ち、リスクを計算した上で行動すれば、不動産投資は依然として強力な資産形成手段です。
まずはポータルサイトで物件を眺めることから始めてみてください。
そして、気になる物件があれば資料請求をし、現地に足を運んでみることです。
「買えば儲かる」時代は終わりましたが、「考え、動き、仕組みを作った人が勝つ」時代になっただけのことです。
あなたも一棟目のアパートを手に入れて、経済的自由への第一歩を踏み出してみませんか。
※本記事は2025年時点の情報に基づき、一般的な不動産投資の考え方を解説したものです。投資にはリスクが伴いますので、最終的な判断はご自身の責任において行ってください。