
アパート経営に興味はあるけれど、手元の資金を使いたくない、あるいは資金そのものがなくて悩んでいませんか。
特に「自己 資金 0(ゼロ)」で始められるのかどうかは、多くの方が一度は検索するテーマです。
ネット上には「資金なしでも土地ありなら可能」とか、「フルローンは失敗するからやめたほうがいい」といった様々な情報が溢れていて、何が本当なのか分からなくなりますよね。
大東建託などの大手で成功している人がいる一方で、無理なローンで苦しんでいる人がいるのも事実です。
この記事では、実際に資産運用を行っている私の視点で、自己 資金 0(ゼロ)でのアパート経営のリアルについて掘り下げていきます。
この記事のポイント
- フルローンが可能になる条件と仕組み
- 自己 資金 0(ゼロ)のリスクと失敗する人の特徴
- 土地あり・なしによる戦略の違い
- 資金不足でも始められる現実的な代替案
資金0でのフルローンは危険?
凡人でも成功する「現実的な手順」があります
自己資金も乏しく自己 資金 0(ゼロ)でのフルローンは、一歩間違えば破産への片道切符です。
しかし、凡人でも「ある手順」を踏めば、リスクを抑えて資産を築くことは可能です。
私が実践する「資金を作りながら不動産へステップアップする現実的な方法」を先に知りたい方は、こちらをご覧ください。
アパート経営は自己 資金 0(ゼロ)でも可能?仕組みと現実
結論から言うと、自己 資金 0(ゼロ)でアパート経営を始めることは、仕組み上は可能です。
しかし、「誰でも簡単にできる」という甘い話ではありません。
ここでは、いわゆる「フルローン」の仕組みと、実際に資金0でスタートしようとした時に直面する現実的なハードルについて解説していきます。
フルローンの仕組みと銀行審査の厳しさ

アパート経営における「自己 資金 0(ゼロ)」とは、一般的に「フルローン」と呼ばれる状態を指します。
これは、物件の購入価格の全額を金融機関からの融資で賄うことです。
通常、アパートローンを組む際は物件価格の1割〜2割程度の頭金(自己資金)を入れるのが一般的ですね。
頭金を入れることで銀行側は貸し倒れのリスクを減らせるからです。
しかし、物件の収益性が極めて高い場合や、借入をする人の属性(信用力)が非常に高い場合に限り、頭金なしでの融資が認められることがあります。
ただ、この審査は近年非常に厳しくなっています。金融庁の調査でも、多くの金融機関が投資用不動産向け融資の審査において、顧客の返済能力や自己資金の有無を厳格に見るようになっていることが報告されています。
銀行としては「頭金も出せない人に数千万、数億円を貸すのはリスクが高すぎる」と判断するのが普通だからです。
チェック
フルローンが出るのは「お金がない人」への救済ではなく、「お金があるけど使わずに運用したい人」への優遇措置であることが多いです。
頭金なしでも諸費用は現金が必要な理由
ここで多くの人が勘違いしやすいポイントがあります。
それは、「フルローン=手出し現金0円」ではないということです。
アパートを購入する際には、物件価格以外に「諸費用」がかかります。
具体的には、登記費用、不動産取得税、火災保険料、ローン事務手数料、仲介手数料などですね。
これらは一般的に物件価格の7%〜10%程度
かかると言われています。
例えば、5,000万円のアパートを買うなら、350万円〜500万円程度の諸費用が必要です。
多くの金融機関は、この諸費用部分までの融資(オーバーローン)には消極的です。
つまり、たとえフルローンで物件を買えたとしても、諸費用分の数百万円は現金で用意しなければならないのが現実なのです。
もし「今の貯金で足りるか不安」と感じたなら、物件価格ごとに必要な手元資金の目安をシミュレーションした以下の記事で、安全ラインを確認してみてください。
資金なしでも土地ありなら有利になる理由

もしあなたが「資金なし」であっても、「土地あり」の場合は話が大きく変わります。
すでに所有している土地にアパートを建てる場合、その土地自体を担保として銀行に差し出すことができるからです。
銀行にとって一番怖いのは、貸したお金が返ってこないことですよね。
しかし、土地という確実な資産を担保に取れるなら、建物分の建築費用を全額融資することへのハードルはグッと下がります。
特に、相続した土地や、すでにローンを完済している土地を持っている場合は、自己資金が少なくても好条件で融資を受けられる可能性が高いです。
このケースは「自己 資金 0(ゼロ)」の中でも、最も成功確率が高いパターンと言えるでしょう。
融資に必要な年収と個人の属性の目安
では、土地を持たずに物件を購入する場合、どれくらいの属性が必要になるのでしょうか。
銀行によって基準は異なりますが、フルローンを狙うのであれば、一般的に以下のような属性が求められることが多いです。
- 年収
最低でも700万円以上、できれば1,000万円以上が望ましいです。 - 勤務先
上場企業、公務員、医師、弁護士など、安定性が極めて高い職業が有利です。 - 金融資産
「今は使わないが、いざとなれば出せる現金や株」を数百万〜1,000万円単位で持っていること(見せ金)。
「年収が低いからフルローンで始めたい」という動機の場合、残念ながら審査の土俵に乗ることさえ難しいのが厳しい現実です。
オーバーローンなら初期費用も0にできる?

先ほど「諸費用は現金が必要」と言いましたが、中には諸費用まで含めて融資する「オーバーローン」という方法も存在します。
これを使えば、本当に手出し0円でスタートできます。
しかし、これは諸刃の剣です。
物件の担保価値以上に借金をすることになるため、銀行の審査はフルローン以上に厳しくなります。
また、金利もかなり高めに設定されるケースがほとんどです。
金利が高くなれば、毎月の返済額が増え、手元に残る利益(キャッシュフロー)が圧迫されます。
不動産投資のプロでも慎重になる手法なので、初心者の方が安易に手を出すのはおすすめできません。
自己 資金 0(ゼロ)でのアパート経営に伴うリスクと方法
ここまで「可能かどうか」をお話ししましたが、ここからは「やるべきかどうか」という視点でリスクを見ていきましょう。
自己 資金 0(ゼロ)でのアパート経営は、レバレッジ(てこの原理)を最大化できる反面、少しのつまずきで破綻するリスクを孕んでいます。
失敗しないためのポイントや、大手メーカーとの付き合い方についても解説します。
フルローンでの失敗原因は返済比率の高さ

「フルローン 失敗」で検索すると多くの事例が出てきますが、その最大の原因は「返済比率」が高くなりすぎることです。
返済比率とは、毎月の家賃収入に対するローン返済額の割合のことです。
頭金を入れて借入額を減らせば、返済比率は下がります。
しかし、フルローンの場合は借入額が最大になるため、毎月の返済額も最大になります。
例えば、家賃収入が月50万円で、ローン返済が月40万円だとしたら、返済比率は80%。手元には10万円しか残りません。
ここから管理費や固定資産税(一般的に家賃の20〜30%)を払うと、利益はほとんど残らない計算になります。
もし空室が出て家賃収入が減ったり、エアコンが壊れて修繕費がかかったりすれば、すぐに赤字転落です。
この「余裕のなさ」こそが、フルローンの最大のリスクなのです。
では、具体的にどれくらいの数字を目指せば安全なのでしょうか。アパート経営において安全圏とされる目安は以下の通りです。
安全な経営指標の目安
- 返済比率:50%以下
家賃収入の半分以下に返済額を抑えるのが理想です。フルローンの場合でも、最低ラインとして55%以下を目指さないと、キャッシュフローは回りません。 - イールドギャップ:2.0%以上
「実質利回り(FCR)」から「借入金利(K)」を引いた差です。金利上昇リスクや突発的な修繕に耐えるためには、最低でも1.5%〜2.0%以上の差(ギャップ)が必要です。
フルローンでこの数値を達成するのは容易ではありません。
そのため、安易に物件を選ぶのではなく、シミュレーションを徹底し、返済比率を50%台に抑えられるほどの「利回りの高い物件」を購入するべきだと考えます。
安全な経営指標の目安である「返済比率」と「イールドギャップ」の計算方法を詳しく知りたい方は以下の記事で詳細を解説しています。
フルローン融資をおすすめできる人の条件
ここまでリスクばかりをお伝えしましたが、逆に「あえてフルローンを選ぶべき人」も存在します。
それは、お金がないから借りるのではなく、「お金はあるけれど、戦略的に手元に残したい人」です。
具体的には、以下の3つの条件に当てはまる方であれば、フルローンは資産拡大の強力な武器になります。
フルローンを使いこなせる人
- 潤沢な現金資産(1000万円以上〜)がある人
空室や修繕トラブルが起きても、手元の現金で即座に対応できるため、破綻リスクが低い。 - 規模拡大を急ぎたい人
手元資金を温存することで、次の物件購入時の諸費用や頭金に回せるため、資産拡大のスピードが上がる(レバレッジ効果)。 - 高属性(高年収)で本業が安定している人
万が一、アパート経営が一時的に赤字になっても、本業の給与で補填しても痛手にならない。
つまり、フルローンは「持たざる者」の味方ではなく、「持つ者」がさらに富を拡大するためのツールだという認識が重要です。
資金0のアパート経営はやめたほうがいい人
正直なところ、以下のような状況にある方は、資金0でのアパート経営は「やめたほうがいい」と私は考えます。
- 全く貯金がない人
突発的な修繕(雨漏り対応など)で数十万円が必要になった時、対応できずに詰みます。 - 年収がギリギリで生活に余裕がない人
アパート経営が赤字になった時、給与から補填することができず、破綻します。 - 「アパート経営=不労所得」だと信じている人
経営はビジネスです。資金も労力もかけずに儲かるビジネスはありません。
実際には「資金がないからフルローン」融資を受けられるわけではありません。
基本は資金が無い人にはお金を貸す側の銀行もリスク回避の為にフルローン融資を実行する事はほぼありません。
では、どういう人が自己資金0(ゼロ)でフルローン融資を受けているかというと、前に記したとおり「資金はあるけどあえて使わずに、手元の現金をリスクヘッジとして残している人」がほとんどで、そのような人が成功を収めていることが多いです。
諦めるのはまだ早い。
「資金作り」から始める最短ルート
「今の自分にはアパート経営は早すぎるのか…」と諦める必要はありません。
資金がないなら、まずはNISAなどで「種銭」を作ることから始めれば良いのです。
遠回りに見えて最短ルートとなる、私の資産形成ロードマップを公開します。
大東建託などでアパート経営を成功させる鍵

土地を持っている方が検討する場合、「大東建託」のような大手ハウスメーカーのアパート建築提案を受けることも多いでしょう。
大手の場合、建築費は高めになる傾向がありますが、その分、融資の斡旋力が強く、フルローンに近い形での提案が通りやすいという側面があります。
また、「一括借上げ(サブリース)」により、空室リスクを一定期間保証してくれるプランも一般的です。
ここで成功させる鍵は、「サブリース契約の内容を徹底的に理解すること」です。
「30年一括借上げ」といっても、30年間同じ家賃が保証されるわけではありません。
数年ごとの家賃見直しがあり、家賃が下がれば収入も減ります。消費者庁や国土交通省からも、サブリース契約を巡るトラブルについて度々注意喚起がなされており、契約条件の確認は必須です。
それでもローン返済が滞らないか、厳しめのシミュレーションを行うことが不可欠です。
大手だから安心と任せきりにせず、自分でも収支を計算する姿勢が成功への分かれ道になります。
住宅ローンが使える賃貸併用住宅の検討
もしあなたが「資金はないけど、どうしても不動産投資を始めたい」と思うなら、アパートローンではなく「賃貸併用住宅」を検討するのも一つの手です。
賃貸併用住宅とは、自宅の一部を賃貸スペースとして貸し出す建物のことです。
これの最大のメリットは、金利が低い「住宅ローン」を利用できる可能性がある点です(※自宅部分が50%以上などの条件あり)。
住宅ローンなら、アパートローンよりも審査が通りやすく、金利も圧倒的に低いため、返済負担を抑えられます。
「自分の住む家」を確保しながら、家賃収入でローン返済の一部を賄うことができるため、資金0からのスタートとしては非常に合理的です。
「自分で住みながら家賃収入を得る」という選択肢に興味が湧いた方は、住宅ローンを賢く活用して一棟買いを実現する具体的な手順と注意点をチェックしておきましょう。
築古戸建てなど小規模物件から始める

もう一つの現実的な選択肢は、いきなり数千万円の新築アパートを建てるのではなく、数百万円の「築古戸建て」から始める方法です。
地方の築古戸建てなら、300万円〜500万円程度で購入できる物件もたくさんあります。
この金額なら、公庫(日本政策金融公庫)などの融資を受けやすかったり、あるいは頑張って1年〜2年貯金すれば現金で買える可能性も見えてきます。
まずは小さく始めて、家賃収入の実績を作り、徐々に規模を拡大していく。
これを「わらしべ長者」的な戦略と呼んだりしますが、資金がない人ほど、この堅実なルートを目指すべきだと私は思います。
数千万円のアパートローンが怖い場合でも、戸建て投資ならリスクを最小限に抑えて大家業をスタートできます。まずはここから実績を作りたい方は、以下の完全ガイドをご覧ください。
資金が無いのにフルローン融資を検討していませんか?
まずは「盤石な土台」を固めませんか?
十分な資金が無い人はフルローンという甘い言葉に惑わされず、まずは足元の資金作りから着実に進めていきましょう。
「会社員の信用」と「作った資金」を掛け合わせれば、数年後には安全にアパートオーナーになる未来が待っています。
その具体的な全手順を、以下の記事で包み隠さず解説しました。
アパート経営を自己 資金 0(ゼロ)で始める際の最終結論
今回は「アパート経営は自己 資金 0(ゼロ)で可能なのか」というテーマについて解説してきました。
最後に、私の見解をまとめます。
ポイントまとめ
自己 資金 0(ゼロ)(フルローン)は、資金力がある人がレバレッジを効かせるための「攻めの戦略」であり、資金がない人が不動産を持つための「逃げ道」ではありません。
もしあなたが「資金はないけどフルローンで」と考えているなら、それはパラシュートなしでスカイダイビングをするようなものです。
逆に、十分な資産があるなら、フルローンは資産拡大のスピードを上げる強力な武器になり得ます。
ご自身の状況を冷静に見極め、まずは物件価格の1割程度の自己資金(諸費用分)と、半年分程度の生活防衛資金を貯めることから始めてみてはいかがでしょうか。
それが遠回りのようでいて、実は一番の近道かも知れませんよ。
※本記事は筆者の経験に基づく個人的見解です。融資条件や投資成果を保証するものではありません。不動産投資はリスクを伴いますので、最終的な判断は専門家に相談の上、自己責任で行ってください。
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