
「大東建託のアパートを売りたい」とお考えですね。
いざ売却しようとしても、大東建託特有のサブリース契約がどう影響するのか、また、築30年を超えるような古いアパート売りたい場合、そもそも買い手が見つかるのか不安になる方も多いでしょう。
アパート売却相場やアパート売却価格の計算方法を把握し、一棟アパート売却の税金がいくらかかるのか、賃貸アパートを売却したら何所得になるのかも知っておく必要があります。
特に大東建託オーナーチェンジや、一般的なアパート売却のオーナーチェンジとは何が違うのか、その仕組みを理解しておくことがスムーズな売却の鍵となります。
この記事では、大東建託のアパート売却に関するあらゆる疑問にお答えします。
この記事のポイント
- 大東建託のアパートが売りにくいと言われる理由
- サブリース契約物件を売却する際の注意点
- アパート売却時の税金計算と相場の調べ方
- 売却を成功させるための不動産会社の選び方
大東建託のアパートを売りたい時の注意点
- 古いアパート売りたい時の懸念点
- 築30年アパート売却は可能か?
- 大東建託オーナーチェンジの仕組み
- アパート売却オーナーチェンジの基本
- サブリース契約の確認は必須
- アパート売却相場の調べ方
- アパート売却価格の計算方法とは
- 賃貸アパートを売却したら何所得?
- 一棟アパート売却の税金と確定申告
- 売却手順と不動産会社の選び方
- (まとめ)大東建託のアパートを売りたいなら一括査定
古いアパート売りたい時の懸念点
古いアパートを売りたいと考えた際、多くのオーナー様がいくつかの共通の懸念を抱かれます。
最も大きな問題は、建物の老朽化です。
築年数が経過すると、外壁のひび割れ、屋根の劣化、給排水管のトラブルなど、目に見える部分から見えない部分まで修繕が必要になる箇所が増えてきます。
買主は購入後に発生するであろう高額な修繕費用を懸念するため、これが売却価格の低下や、買い手が見つかりにくい原因となるのです。
また、間取りや設備の古さも入居者募集のネックとなります。
例えば、現代のニーズに合わない和室中心の間取り、3点ユニットバス(風呂・トイレ・洗面台が一体型)、キッチンの機能性の低さなどは、若い世代の入居者に敬遠されがちです。
空室が多い状態では物件の収益性が低く評価されるため、投資家向けの物件としては魅力が下がり、売却が難しくなる傾向があります。
老朽化によるデメリット
建物が老朽化すると、金融機関の評価も厳しくなります。
法定耐用年数を超過している場合、購入希望者がローンを組めないケースも増え、結果として現金で購入できる買主に限定されてしまう点も大きな懸念材料です。
築30年アパート売却は可能か?
「築30年のアパートでも売却できるのか」というご質問ですが、結論から言えば売却は十分に可能です。
ただし、新築や築浅の物件と比較していくつかのハードルがあることは事実です。
まず、金融機関の融資が付きにくくなる点が挙げられます。
アパートの構造によって法定耐用年数は定められており、例えば木造の場合は22年、鉄骨造(軽量鉄骨)の場合は19年または27年、鉄筋コンクリート造なら47年です。(出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」)
築30年の木造や軽量鉄骨造アパートの場合、すでに法定耐用年数を超過しているケースが多くなります。
金融機関は耐用年数を融資期間の目安にすることが多いため、融資が下りないか、下りたとしても非常に短い期間となり、買主の月々の返済負担が重くなるのです。
さらに、1981年(昭和56年)6月1日より前に建築確認を受けた物件は「旧耐震基準」で建てられています。
築30年の物件であれば「新耐震基準」を満たしている可能性が高いですが、もし旧耐震基準であった場合は、耐震性の低さから買主が敬遠する大きな要因となります。
築古物件の強み
一方で、築古物件にはメリットもあります。
それは、価格が比較的安価であること、そして利回りが高く設定されていることが多い点です。
立地条件が良ければ、購入後にリノベーションを施して価値を高めたいと考える投資家からの需要があります。
そのため、築30年だからと諦めるのではなく、物件の強みを見極め、適切な価格設定と売却戦略を立てることが重要です。
大東建託オーナーチェンジの仕組み

オーナーチェンジとは、アパートやマンションの入居者が住んでいる状態のまま、物件の所有者(オーナー)だけが変わる売買形態を指します。
買主は、購入と同時に家賃収入を得られる権利と、入居者との賃貸借契約を引き継ぐことになります。
これは、投資用不動産の売買では一般的な手法です。
大東建託の物件でオーナーチェンジを行う場合、この基本的な仕組みは同じです。
しかし、ここで注意が必要なのが、大東建託が提供している「サブリース契約(一括借上システム)」の存在です。
大東建託の物件の多くは、オーナーが大東建託(または関連会社)とサブリース契約を結んでおり、大東建託が入居者の有無にかかわらず一定の賃料をオーナーに保証しています。
このサブリース契約が付随したままオーナーチェンジを行う場合、買主はサブリース契約も一緒に引き継ぐのが一般的です。
買主にとっては、空室リスクを負わずに安定した収入が見込めるというメリットがある一方で、大東建託側から賃料減額の交渉を受けるリスクや、将来的に自分で管理したくても契約を自由に解除できないといったデメリットも引き継ぐことになります。
大東建託の物件を売却する場合、このサブリース契約を「解除して売る」のか、それとも「引き継いだまま売る」のかが、売却戦略の非常に大きな分岐点となります。
アパート売却オーナーチェンジの基本
前述の通り、アパートのオーナーチェンジは入居者がいるまま売却する方法です。
この手法には、売主側と買主側それぞれにメリットとデメリットが存在します。
売主側のメリット・デメリット
売主にとって最大のメリットは、売却が完了する直前まで家賃収入を得続けられることです。
空室にして売る場合、売却活動中は収入が途絶えてしまいますが、オーナーチェンジならその心配がありません。
また、入居者が退去する際の原状回復費用や、売却のために室内をクリーニング・リフォームする費用がかからない点も大きな利点です。
一方、デメリットとしては、売却価格が相場より安くなる傾向があることです。
買主は投資目的であるため、利回りを重視します。
また、入居者がいるため室内を自由に内覧できず、買主が物件の状態を細かく確認できないリスクを考慮し、価格交渉が入りやすくなります。
買主側のメリット・デメリット
買主にとってのメリットは、購入後すぐに家賃収入が発生することです。
新たに 入居者募集を行う手間や広告費が不要で、投資計画を立てやすいのが魅力です。
デメリットは、売主側と同様に室内を直接確認できない点や、既存の入居者がどのような人かを選べない点です。
もし家賃滞納などのトラブルがある場合、そうした問題も引き継ぐことになります。
オーナーチェンジの基本まとめ
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 売主 | ・売却完了まで家賃収入が得られる ・リフォームや原状回復費用が不要 | ・売却価格が安くなりがち ・内覧対応が難しい |
| 買主 | ・購入後すぐに家賃収入が得られる ・入居者募集の手間と費用が不要 | ・室内を直接確認できない ・入居者を選べない(トラブルも引き継ぐ) |
サブリース契約の確認は必須

大東建託のアパートを売りたいと考える際、最も重要かつ慎重に確認すべきのが「サブリース契約(一括借上システム)」の内容です。
この契約は、オーナーにとって空室リスクを回避できるメリットがある反面、売却時には大きな制約となる可能性があります。
最大の問題点は、オーナー側から一方的に契約を解除するのが非常に難しいことです。
サブリース契約は法的には「賃貸借契約」にあたり、借地借家法によって借主(この場合は大東建託側)の権利が強く保護されています。
オーナーが「売りたいから」という理由だけで解約を申し出ても、「正当な事由」として認められないケースがほとんどです。
もし解約が認められたとしても、契約書の内容によっては高額な違約金や立退料(借上賃料の数ヶ月分〜数年分)を請求される可能性があります。
売却によって得られる利益の大半が違約金で消えてしまうようでは、元も子もありません。
売却活動を始める前に、まずは大東建託と交わした契約書を隅々まで確認してください。
特に以下の項目は重要です。
- 契約期間(自動更新の条件)
- 中途解約に関する条項(違約金、予告期間)
- 賃料の改定(減額)に関する条項
サブリース契約の売却方法
サブリース契約がある物件の売却方法は、大きく分けて2つです。
- サブリース契約を解除してから売却する
違約金などのコストがかかる可能性がありますが、買主は自由に物件を管理・運営できるため、一般市場で売却しやすくなります。 - サブリース契約を引き継ぐ形で売却する(オーナーチェンジ)
買主は投資家(特に安定収入を求める層)に限定されますが、解除のコストはかかりません。
どちらが有利かは物件の状況や市場によります。
サブリース物件の売買実績が豊富な不動産会社に相談することが不可欠です。
大東建託のアパートを売りたい人の税金と相場
- 古いアパート売りたい時の懸念点
- 築30年アパート売却は可能か?
- 大東建託オーナーチェンジの仕組み
- アパート売却オーナーチェンジの基本
- サブリース契約の確認は必須
- アパート売却相場の調べ方
- アパート売却価格の計算方法とは
- 賃貸アパートを売却したら何所得?
- 一棟アパート売却の税金と確定申告
- 売却手順と不動産会社の選び方
- (まとめ)大東建託のアパートを売りたいなら一括査定
アパート売却相場の調べ方
アパートの売却相場を把握することは、適正価格で売却するための第一歩です。
収益物件であるアパートの価格は、主に「収益性」と「積算評価」の2つの側面から決まります。
個人で相場を調べるには、いくつかの方法があります。
1. 収益物件専門のポータルサイトで調べる
「楽待(らくまち)」や「健美家(けんびや)」といった不動産投資専門のポータルサイトを利用するのが最も手軽な方法です。
ご自身の物件と似た条件(エリア、築年数、構造、間取り)の物件が、どのくらいの価格と利回りで売りに出されているかを比較します。
ただし、掲載されている価格は「売主の希望価格」であり、実際の成約価格とは異なる点に注意が必要です。
2. 取引事例比較法
国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ(旧:土地総合情報システム)」では、過去に実際に行われた不動産取引の成約価格を調べられます。
エリアや時期、物件の種類(中古マンション等※アパートも含む)を指定して検索できます。
ただし、個別の事情(サブリース契約の有無など)までは反映されないため、あくまで大まかな目安として活用します。
3. 収益還元法(利回りから逆算する)
アパートのような収益物件は、「その物件がどれだけ稼げるか(利回り)」を基準に価格が決まることが多いです。
周辺の類似物件の「表面利回り」を調べ、ご自身の物件の年間家賃収入からおおよその価格を逆算します。
(計算方法は次の見出しで解説します)
最も正確なのは「不動産会社の査定」
上記の方法はあくまで目安です。
大東建託のサブリース契約の状況や、建物の具体的な状態など、専門的な知見を踏まえた正確な査定額を知るには、不動産会社に査定を依頼するのが最善の方法です。
特に、一棟アパートや収益物件の取り扱いに長けた会社を選ぶことが重要になります。
アパート売却価格の計算方法とは

アパートのような収益物件の価格を算出する際、最も一般的に用いられるのが「収益還元法」です。
これは「その不動産が将来生み出すと期待される収益」を基に、現在の価値を評価する方法です。
収益還元法には「直接還元法」と「DCF法」がありますが、ここではより簡便で広く使われる「直接還元法」について解説します。
直接還元法による計算式
物件の収益価格 = 1年間の純収益 ÷ 還元利回り(キャップレート)
1年間の純収益とは、年間の満室想定家賃収入から、管理費、修繕費、固定資産税、火災保険料などの「年間経費」を差し引いた金額です。
(純収益 = 年間家賃収入 − 年間経費)
還元利回り(キャップレート)とは、その物件に期待される投資利回りのことです。
この数値は、立地や築年数、構造、市場の動向などによって変動します。
例えば、都心の築浅物件なら利回りは低く(価格は高く)なり、地方の築古物件なら利回りは高く(価格は安く)なる傾向があります。
例えば、年間純収益が500万円の物件で、周辺相場から期待される還元利回りが8%だと仮定します。
その場合の収益価格は、500万円 ÷ 8%(0.08)= 6,250万円 と試算できます。
大東建託のサブリース物件の場合、家賃収入が保証されているため計算しやすいように思えますが、将来的な賃料減額リスクや、買主が自由に運営できない点を考慮し、還元利回りが高め(価格は低め)に設定されることもあります。
賃貸アパートを売却したら何所得になる?
賃貸アパートを売却して利益(売却益)が出た場合、その利益は「譲渡所得(じょうとしょとく)」として扱われます。
これは、給与所得や事業所得とは別個に計算される「分離課税」の対象です。
ここで重要なのは、売却価格そのものが所得になるのではないということです。
譲渡所得は、あくまで「売却によって得られた利益」の部分を指します。
計算式は以下の通りです。
譲渡所得の計算式
譲渡所得 = 収入金額(売却価格) − (取得費 + 譲渡費用)
収入金額は、アパートを売却して買主から受け取る金額です。
取得費は、そのアパートを購入した時の代金や、購入時にかかった仲介手数料、登記費用などの合計です。
ただし、建物の取得費については、所有していた期間に応じて価値が減少した分(減価償却費)を差し引いて計算する必要があります。
譲渡費用は、今回のアパート売却のために直接かかった費用のことです。
具体的には、不動産会社に支払う仲介手数料、売買契約書に貼る印紙税、サブリース解約のための違約金などが含まれます。
これらの計算を行い、結果がプラスになれば譲渡所得が発生したことになり、税金(所得税・住民税)がかかります。
もしマイナス(売却損)になった場合は、譲渡所得は0円となり、課税されません。
一棟アパート売却の税金と確定申告
前述の計算でアパート売却による譲渡所得(利益)が発生した場合、その利益に対して「譲渡所得税(所得税+住民税)」が課税されます。
この税率は、アパートを所有していた期間によって大きく異なります。
ポイントは、売却した年の1月1日時点での所有期間が5年を超えているかどうかです。
所有期間別の譲渡所得税率
| 所有期間 | 区分 | 税率(所得税+住民税) |
|---|---|---|
| 5年以下 | 短期譲渡所得 | 39.63% (所得税30.63% + 住民税9%) |
| 5年超 | 長期譲渡所得 | 20.315% (所得税15.315% + 住民税5%) |
※所得税には復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)が含まれます。
このように、所有期間が5年を超えるかどうかで税率が約2倍も変わってきます。
例えば、譲渡所得が1,000万円だった場合、短期であれば約396万円の税金がかかりますが、長期であれば約203万円で済みます。(出典:国税庁「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」)
売却のタイミングを検討する上で非常に重要なポイントです。
確定申告は必須
アパートの売却によって譲渡所得が発生した場合、会社員の方であっても必ずご自身で確定申告を行う必要があります。
売却した年の翌年(通常2月16日〜3月15日)に、税務署にて申告と納税を行います。
もし売却損が出た場合、納税の必要はありませんが、他の所得と損益通算できる特例(一定の条件あり)などもあるため、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
このほか、売買契約書に貼る「印紙税」や、仲介手数料などに含まれる「消費税(建物売却分)」なども発生します。
売却手順と不動産会社の選び方

大東建託のアパートを売却する際の手順は、一般的な不動産売却と似ていますが、いくつか特有の注意点があります。
売却の基本的な流れ
STEP1:大東建託との契約書確認
まず、サブリース契約や管理委託契約の内容を徹底的に確認します(特に解約条件、違約金)。
STEP2:不動産会社に査定依頼
複数の不動産会社に査定を依頼し、物件の価値を把握します。
STEP3:媒介契約の締結
売却を依頼する不動産会社を1社(または複数社)決め、媒介契約を結びます。
STEP4:大東建託への解約相談・通知(必要な場合)
サブリースを解除する場合は、不動産会社と相談の上、大東建託に解約の交渉や通知を行います。
STEP5:売却活動の開始
不動産会社がポータルサイトへの掲載や投資家への紹介など、販売活動を開始します。
STEP6:売買契約の締結
買主が見つかったら、条件を交渉し、売買契約を結びます。
STEP7:決済・引き渡し
残代金を受け取り、物件の所有権を買主に移転(登記)して、売却完了です。
不動産会社の選び方
大東建託のアパート売却を成功させるには、不動産会社選びが最も重要と言っても過言ではありません。
特に以下の2点を満たす会社を選びましょう。
- 収益物件(一棟アパート)の売買実績が豊富かマイホームの仲介をメインにしている会社と、投資用物件をメインにしている会社では、販売ノウハウや抱えている顧客(投資家)リストが全く異なります。
- 大東建託やサブリース物件の取り扱い経験があるか前述の通り、サブリース契約の扱いは非常に専門的です。契約解除の交渉や、契約を引き継ぐ形での売却ノウハウを持っている会社でないと、思わぬトラブルに発展する可能性があります。
近所の不動産会社に安易に頼むのではなく、「収益物件専門」かつ「サブリース物件に強い」会社を見つけることが、高値売却・早期売却への近道です。
(まとめ)大東建託のアパートを売りたいなら一括査定
大東建託のアパートを売りたいと考えた際の重要ポイントをまとめます。
売却を成功させるには、特有の注意点を理解し、適切なパートナー(不動産会社)を選ぶことが不可欠です。
- 大東建託のアパート売却で最も注意すべきはサブリース契約
- サブリース契約はオーナー都合での解約が難しく違約金が発生する可能性
- 売却方法はサブリースを解除するか引き継ぐかの2択
- 古いアパートでも売却は可能だがローン審査や耐震基準が課題となる
- 築30年超でも立地や管理状態が良ければ投資家需要がある
- オーナーチェンジは入居者ごと売却する手法
- オーナーチェンジは売却まで家賃収入が続くが価格は安くなりがち
- アパート売却相場は収益物件専門ポータルサイトで確認
- 売却価格の計算は収益還元法(純収益 ÷ 還元利回り)が基本
- アパート売却で利益が出ると譲渡所得となる
- 譲渡所得税の税率は所有期間5年超で約20%、5年以下で約40%
- 売却益が出たら翌年に確定申告が必須
- 売却手順はまず契約書確認から始める
- 不動産会社は収益物件とサブリースに強い会社を選ぶべき
- 最適な会社を見つけるには複数の会社を比較することが重要
- 複数の会社に一度に査定依頼できる一括査定サイトの利用が効率的