
レオパレスのオーナーチェンジ物件をご検討中でしょうか。
市場には、レオパレスの中古売り物件やレオパレスの一棟売り物件が、時折割安な価格で出回ることがあります。
しかし、過去の施工不良問題や、レオパレスのサブリース契約をめぐるトラブルにより、オーナーが悲惨な状況に陥ったという経緯も存在します。
現在のオーナーの収入状況は改善傾向にあるものの、なぜレオパレス物件が売れないと言われるのか、その背景には根深い理由があります。
この記事では、レオパレスのオーナーチェンジ物件を購入する際のリスクと、逆に売却する際の戦略について、専門的な視点から詳しく解説します。
この記事のポイント
- レオパレス物件の現状と施工不良問題の進捗
- オーナーチェンジ物件購入時の具体的なリスク
- サブリース契約と家賃保証の引き継ぎ可否
- 売却を成功させるための金融機関と不動産会社の選び方
レオパレスオーナーチェンジ購入の注意点
- 施工不良問題の現在の状況
- オーナーが悲惨と言われた理由
- レオパレスのサブリース契約とは
- 現在のオーナーの収入状況
- 家賃保証は引き継ぎ可能か
- レオパレスの中古売り物件の価格
- レオパレスの一棟売りは狙い目か
- 入居率は回復傾向にあるのか
- なぜレオパレス物件は売れないのか
- 融資NGの金融機関がほとんど
- レオパレスオーナーチェンジ成功の鍵
施工不良問題の現在の状況
2018年に発覚したレオパレスの施工不良問題は、オーナーチェンジ物件を検討する上で最大の懸念事項です。
界壁の未施工や不備、耐火構造の不適合など、入居者の安全に関わる重大な問題が多数見つかりました。
レオパレス社は補修工事を進めていますが、その対象は膨大な数に上ります。
レオパレス21の公式発表(IR情報)によれば、2025年9月末の時点でも、今後改修が必要とされる戸数は約1,300戸とされています。
年々改修は進んでいるものの、すべての対象物件の工事が完了しているわけではないのが現状です。
オーナーチェンジで物件を購入するということは、この「施工不良リスク」を引き継ぐ可能性があることを意味します。
購入検討物件が問題の対象であったか、そして改修工事が完了しているかは、必ず確認しなければならない最重要項目です。
オーナーが悲惨と言われた理由

レオパレスのオーナーが「悲惨」とまで言われるようになった背景には、「資産」と「収入」の両面で深刻な問題に直面した経緯があります。
第一の打撃は、施工不良問題による資産価値の暴落です。建物が安全基準を満たしていないと判明したことで、担保価値は無いに等しい状態になりました。
その結果、金融機関は一斉に評価を引き下げ、新規融資や借り換えの道を事実上閉ざしてしまったのです。
第二の打撃は、サブリース契約(一括借り上げ)をめぐるトラブルでした。
「30年間家賃保証」という言葉を信頼していたにもかかわらず、一方的な家賃減額や契約解除を通告される事例が相次ぎました。
このように、当てにしていた家賃収入は途絶える一方で、ローンの返済義務だけが重く残ります。
しかも、施工不良のレッテルが貼られた物件は売却することも極めて困難でした。この出口のない二重苦が、多くのオーナーを苦しめた実態です。
レオパレスの「サブリース」契約とは?

サブリース契約の基本仕組み
レオパレス21が展開してきた「サブリース契約」は、一般的に「一括借り上げ」や「家賃保証」と呼ばれる仕組みです。
オーナー(物件の所有者)はレオパレスとマスターリース契約を結び、レオパレスが物件全体を借り上げます。
その後、レオパレスが入居者を募集し、入居希望者に再賃貸(転貸)するという流れです。
オーナーは、入居率に関わらず一定の家賃を受け取れる仕組みとして説明を受けるケースが多く、空室リスクを軽減できる点がメリットとされています。
契約のメリットと「安心」と言われる理由
入居者募集・管理をレオパレスが代行するため、オーナーは運営の手間を省ける
空室や家賃滞納のリスクを一定程度軽減でき、安定した賃料収入を得やすい
維持管理を含むアパート経営を「委託型」として行える
これらの特徴により、特に初めての不動産オーナーにとっては「安定的な不動産投資手法」として人気を集めてきました。
ただし、こうしたメリットの裏には必ず確認すべきリスクや注意点があります。
契約の落とし穴 ― 「家賃保証」は永久ではない
国土交通省は、サブリース契約に関して「賃料減額をめぐるトラブル」への注意を呼びかけています。
これは、借地借家法第32条に基づき、サブリース会社が市場の変化や入居状況に応じて家賃の増減を請求できるとされているためです。
そのため、「30年間家賃が変わらない」といった説明を受けたオーナーでも、実際には数年後に賃料見直しを求められるケースが報じられています。
これは違法ではなく、法律上認められた請求権に基づくものですが、契約時にそのリスクを理解していなかったオーナーがトラブルとなることが多いのです。
(参照:国土交通省|アパート経営(サブリース)を検討されている方へ)
(参照:借地借家法 第32条(賃料増減請求権))
トラブル事例にみる現実
国土交通省や消費者庁がまとめた事例では、次のようなトラブルが報告されています。
「長期間の家賃保証」と説明され契約したが、途中で大幅な減額を求められた
契約書に「賃料改定できる」と明記されていたが、十分な説明を受けていなかった
契約解除や更新条件が、オーナーにとって不利な内容だった
これらのトラブルは、「保証」という言葉への誤解と、契約書に書かれた実際の条項とのギャップから生じています。
(参考:国土交通省報道発表「サブリース業者とのトラブルに関する注意喚起」)
(参照:消費者庁|サブリース契約に関する注意喚起)
契約前に確認すべき3つのポイント
サブリース契約を結ぶ前に、以下の3つは必ず確認しておきましょう。
賃料改定条項
→ 「借地借家法第32条に基づく賃料見直し」の文言があるかをチェック。契約解除の条件・期間
→ 解除の通知期限や正当事由など、どちらに有利かを確認。修繕・管理費の負担範囲
→ オーナー・サブリース会社のどちらが費用を負担するかを明確に。
これらを理解しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
契約は「内容を理解してから」結ぶのが鉄則
サブリース契約は、仕組みそのものが問題なのではなく、「理解不足のまま契約してしまうこと」がトラブルの原因です。
国土交通省も、次のように注意を促しています:
「オーナーに対して、将来の賃料見直しや契約解除のリスクについて十分に説明しない事例が見られます。契約内容をしっかり確認し、納得の上で締結してください。」
(出典:国土交通省 報道資料)
レオパレスのサブリース契約を検討する際は、契約書・重要事項説明書を必ず読み込み、分からない点は専門家(弁護士・不動産鑑定士など)に相談することをおすすめします。
現在のオーナー収入の全体傾向

レオパレス21のオーナー収入は、過去の施工不良・サブリース問題の影響を経て回復基調にあります。
近年は経営改革や法人向け営業強化により、全体的に業績と稼働率が安定しています。
入居率は安定水準で推移
2025年3月期の平均入居率は85.56%、期末入居率は87.57%でした。
直近の月次データ(2025年9月末)では85.38%と発表されています。
家賃単価の上昇により、収益性の改善が進んでいます。
(出典:レオパレス21公式IR情報)
法人契約の割合が安定を支える
賃貸事業の法人契約比率は約65%。法人顧客は4万社超、利用戸数は約30万戸と過去最高水準です。
企業の社宅・寮需要が安定しているため、入居率維持に寄与しています。
オーナー収入に影響する要素
プラス要因
- 法人契約による安定的な入居
- 家賃単価の上昇と収益改善
- 物件管理・品質改善の進展
注意が必要な点
注意点
- 入居率は平均値であり、地域や物件によって差がある
- サブリース契約の賃料改定や減額対応により、オーナー収入は個別に変動
- 施工不良改修が未完了の物件では依然として収益性が低い可能性
平均的な指標は改善傾向にありますが、オーナーの実収入は契約内容や物件状態により差が出ています。
法人需要を中心とした安定経営が続く一方で、物件ごとの「二極化」が進む可能性もあります。
契約内容の確認と長期的な視点での運用が今後ますます重要です。
家賃保証は引き継ぎ可能か
オーナーチェンジ物件を購入する際、「現在のオーナーが受け取っている家賃保証(サブリース契約)は引き継げるのか?」という点は非常に重要です。
結論から言えば、原則として従来のサブリース契約はそのまま引き継げないと考えるべきです。
売買によって物件の所有者が変わるため、既存の契約は一度終了し、新しいオーナーとしてレオパレス社と改めて契約を結び直す形が一般的です。
その際、これまでの保証賃料が維持されるとは限りません。
現在の市況に基づいた新しい賃料を提示されるか、あるいはサブリース契約自体を拒否される可能性もあります。
購入後にサブリースが使えず、自主管理(または一般の管理会社への委託)に切り替わる場合、空室リスクや管理の手間をすべて自分で負うことになります。
契約の引き継ぎ有無と条件は、購入前に必ずレオパレス社へ確認が必要です。
オーナーチェンジ物件において、サブリース契約の引き継ぎは最もトラブルになりやすいポイントの一つです。
「現在の利回り」だけを見て購入を決めると、契約変更後に収入が激減し、計画が破綻する恐れがあります。
必ず「契約がリセットされる」前提で収支計算を行ってください。
レオパレスオーナーチェンジ物件の売買
- 施工不良問題の現在の状況
- オーナーが悲惨と言われた理由
- レオパレスのサブリース契約とは
- 現在のオーナーの収入状況
- 家賃保証は引き継ぎ可能か
- レオパレスの中古売り物件の価格
- レオパレスの一棟売りは狙い目か
- 入居率は回復傾向にあるのか
- なぜレオパレス物件は売れないのか
- 融資NGの金融機関がほとんど
- レオパレスオーナーチェンジ成功の鍵
レオパレスの中古売り物件の価格

市場に出回るレオパレスの中古物件は、近隣の類似物件と比較して「割安」な価格設定がされているケースが多く見られます。
この「割安」の背景には、これまで解説してきた様々なリスクが織り込まれています。
割安な理由
- 施工不良リスク:改修が未了である可能性や、改修済みであっても心理的な瑕疵(けがれ)と見なされる。
- 融資困難リスク:ほとんどの金融機関が融資に消極的で、買い手が現金客に限られる。
- ブランドイメージ:「レオパレス」という名前自体が、入居者募集や将来の売却時に不利に働く。
- 出口戦略の不透明さ:将来、自分が売却したくなった時に、さらに安値でしか売れない可能性がある。
表面的な高利回りに見える物件でも、これらのリスクを許容できるかどうかが、購入判断の分かれ目となります。
レオパレスの一棟売りは狙い目か
「割安で高利回り」という側面だけを見れば、レオパレスの一棟売り物件は「狙い目」と見ることもできます。
特に、施工不良の改修が完了しており、立地が良く、法人需要などで入居率が安定している物件であれば、魅力的に映るかもしれません。
しかし、これは十分な自己資金(現金)を持ち、不動産投資のリスクを熟知した上級者向けの投資と言えます。
最大のハードルは、やはり融資です。
自己資金で購入できたとしても、次の売却時に買い手が融資を使えなければ、売却に非常に苦労します。
また、築年数が経過している物件も多く、購入後に大規模な修繕費用が発生するリスクも考慮しなければなりません。
安易に「お買い得」と判断するのは危険です。
入居率は回復傾向にあるのか
前述の通り、レオパレス全体の入居率は回復傾向にあります。
レオパレス21の入居率は、施工不良問題などが表面化した2018年当時に70%台前半まで落ち込みましたが、その後は段階的な回復基調をたどっています。
公式IR資料によると、2025年3月期の平均入居率は85.56%、期末入居率は87.57%でした。
さらに、直近の月次データ(2025年9月末時点)では85.38%と公表されており、全体として安定水準で推移していることが確認できます。
(出典:レオパレス21 IR・月次データ)
この安定を支えているのが、売上と契約戸数の大部分を占める法人契約です。
レオパレス21の賃貸事業では、法人契約比率が約65%に達しており、法人顧客数は4万社超・利用戸数は30万戸以上と過去最高水準を維持しています。
企業が社員の社宅として一括で物件を借り上げる仕組みのため、個人入居者のブランドイメージの影響を受けにくいという強みがあります。
この法人需要の安定が、レオパレス社全体の業績回復の背景にもなっています。
家賃単価は前年より上昇傾向にあり、法人契約を中心に安定的な稼働が続いています。
ただし、オーナーチェンジで物件を購入し、自主管理に切り替えた場合、この「法人契約の強み」という恩恵を受けられなくなる可能性があります。
レオパレス社を通さずに、個人オーナーが大手企業と社宅契約を結ぶのは容易ではありません。
入居率の安定性は、サブリース契約を継続できるかどうかに大きく依存している側面があるため、注意が必要です。
なぜレオパレス物件は売れないのか
既存オーナーが「レオパレス物件は売れない」と嘆く理由は、主に3つあります。
- 金融機関の融資が付きにくいこれが最大の理由です。不動産投資は融資(レバレッジ)を利用するのが一般的ですが、その融資が非常に降りにくくなっています。購入できるのは、多額の現金を一括で用意できる投資家や業者に限られてしまいます。
- ネガティブなブランドイメージ買い手(投資家)も、購入後の入居者募集に苦労することを懸念します。また、将来の出口戦略(売却)が描きにくいため、購入をためらいます。
- 施工不良の懸念「改修済み」とされていても、「本当に大丈夫なのか」「他の不備が後から見つかるのではないか」という不安が払拭できません。これが担保価値の低さにもつながっています。
これらの要因により、買い手の絶対数が極端に少なくなるため、「売れない」状況が続いてきたのです。
融資NGの金融機関がほとんど
アパートローンを取り扱う金融機関の多くは、レオパレス物件への融資に依然として慎重な姿勢です。
施工不良問題によって建物の担保評価が著しく毀損したため、融資の回収リスクが高いと判断されてきました。
以前は、ほとんどの金融機関が融資を「不可」としていました。
しかし、最近ではその状況に少しずつ変化が見られます。
施工不良の改修が完了し、遵法性が確認された物件や、立地が良く安定した収益が見込める物件に対しては、一部の金融機関が条件付きで融資を再開するケースも出てきているようです。
ただし、これはあくまで限定的な動きです。
依然として多くの金融機関が融資に消極的であり、融資のハードルが他の一般的な収益物件に比べて格段に高いことに変わりはありません。
売却を検討するオーナーにとって、この「融資の現状」は非常に重要です。
「レオパレス物件でも融資を付けられます」と謳う不動産会社がいた場合、本当に融資実績があるのか、どの金融機関とどのような条件で進めるのかを具体的に確認することが大切です。
購入希望者に対して、自分の力で銀行融資を付けることは至難の業なので、レオパレス物件の融資事情に熟知した不動産会社に依頼する事。
これが、レオパレス物件を売却する際の成功の鍵となります。
レオパレスオーナーチェンジ成功の鍵

レオパレスのオーナーチェンジを成功させるための鍵は、購入時と売却時で異なります。
最後に、この記事の要点をリスト形式でまとめます。
- レオパレスオーナーチェンジはリスクが高く注意が必要
- 購入検討時は施工不良の改修が完了しているか必ず確認する
- 施工不良の改修は2023年時点でも道半ばとされている
- オーナーが悲惨と言われた背景には資産価値の下落と融資難がある
- サブリース契約は家賃減額リスクがあり30年保証ではない
- 現在のオーナーの収入は法人契約に支えられ二極化の可能性
- オーナーチェンジでサブリース契約は原則引き継げない
- 中古物件が割安なのは施工不良や融資難のリスクが反映されているため
- 一棟売りは高利回りに見えるが現金購入できる上級者向け
- 入居率は法人契約に支えられ回復傾向にある
- 物件が売れにくい最大の理由は金融機関の融資が付きにくいため
- 融資の門戸は狭いが、取り扱う金融機関も徐々に出始めている
- 購入の鍵はリスクを許容できる自己資金(現金)
- 売却の鍵は、最新の融資事情に精通し、融資可能な金融機関を知る不動産会社選びに尽きる
- 売却時は融資事情に詳しく、金融機関と実績のあるパートナーを見つけることが最も重要