住宅ローン中の賃貸は転勤なら黙認でもOK?銀行にバレるリスクと相談手順

住宅ローン中の賃貸は転勤なら黙認でもOK?銀行にバレるリスクと相談手順

住宅ローン返済中のマイホームを賃貸に出したいけれど、銀行に無断で貸しても黙認されるのか気になっていませんか。

転勤や介護で家を空けることになったり、毎月の返済が苦しくなったりすると、家賃収入でローンを賄いたいと考えるのは自然なことです。

しかし、ネット上にある「バレない」「黙認される」といった情報を鵜呑みにするのは非常に危険です。

銀行は郵便物の返送や独自の調査網を持っており、不正な賃貸利用は高い確率で発覚します。

もしバレてしまえば、残債の一括返済を求められるなど、取り返しのつかない事態になりかねません。

この記事では、なぜ無断賃貸がバレるのかその仕組みと、リスクを回避して合法的に貸し出すための正しい手順について解説します。

この記事のポイント

  • 住宅ローンの無断賃貸が銀行にバレる具体的な仕組み
  • 一括返済や社会的信用の喪失といった深刻なペナルティ
  • 転勤などやむを得ない事情がある場合の銀行への相談方法
  • リスクを負わずに資産を守るための正しい選択肢

【重要】リスクを負う前に「家の価値」を知っていますか?

無断賃貸のリスクを冒す前に、「もし売ったらいくらになるのか」を知っておくことは、最悪の事態(一括返済)への備えになります。

まずは匿名でも可能な査定で、自宅の市場価値を把握しておくことを強くおすすめします。

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住宅ローンの賃貸は黙認されない?バレる理由とリスク

結論から言うと、住宅ローンで購入した家を無断で賃貸に出すことは、銀行に黙認されるどころか、契約違反として厳しい対応を取られる可能性が高いです。

「自分だけは大丈夫だろう」という甘い考えは、後々大きなトラブルを招くことになります。

ここでは、なぜ銀行にバレてしまうのか、その具体的な理由と、バレた時にどのようなリスクがあるのかについて詳しく解説していきますね。

 

郵便物の転送不要扱いで無断賃貸がバレる仕組み

郵便物の転送不要扱いで無断賃貸がバレる仕組み

実は、無断での賃貸がバレる理由として最も多いのが、銀行から届く郵便物なんです。

住宅ローンを借りていると、銀行から「ローン残高のお知らせ」や「金利変更の通知」といった重要なお知らせが定期的に届きますよね。

これらの書類は、契約者本人がそこに住んでいることを確認する意味合いも込めて、「転送不要」という扱いで送られることが一般的です。

もし、あなたが住民票を異動させて郵便局に転送届を出していたとしても、この「転送不要」の郵便物は転送されずに、差出人である銀行に戻ってしまいます。

銀行からすれば、「あれ?契約者がこの住所に住んでいないぞ?」と気づくきっかけになるわけです。

これをきっかけに本格的な調査が入り、賃貸に出していることが発覚するというパターンが非常に多いんですね。

注意点

郵便物が届かないことは、銀行にとって「居住実態がない」という明確なシグナルになります。

小手先の対策で誤魔化すことは難しいと考えてください。

 

銀行の訪問調査や近隣からの密告で発覚するケース

郵便物以外にも、銀行は様々なルートで情報を掴んでいます。

例えば、銀行の担当者が定期的に物件の状況を確認するために訪問することもありますし、外観の変化や表札の違いから発覚することもあります。

また、意外と多いのが近隣住民や入居者からの「密告」です。

  • 近隣トラブル
    入居者がゴミ出しのルールを守らない、騒音を出すなどのトラブルを起こし、近隣住民が登記簿を調べて所有者(あなた)ではなく銀行に通報するケース。
  • 入居者からの連絡
    家賃の振り込み先や設備の不具合について、入居者が誤って銀行や提携の保証会社に連絡してしまい、そこから賃貸の事実がバレるケース。

特に、最近はネット上でも「住宅ローンの不正利用」に対する目が厳しくなっています。

SNSなどで安易に発信した内容が巡り巡って銀行の耳に入るリスクもゼロではありません。

 

住宅ローン控除の確定申告により税務署からバレる

住宅ローン控除の確定申告により税務署からバレる

お金の動きからも、不正は確実に足がつきます。

住宅ローン控除を受けている場合、当然ながら毎年確定申告や年末調整を行いますよね。

しかし、賃貸に出して家賃収入を得ている場合、それは「不動産所得」として申告しなければなりません。

ここで矛盾が生じます。

「住宅ローン控除(居住用)」を受けながら「不動産所得(賃貸用)」の申告をすれば、税務署は不審に思いますし、控除を受けるための要件(居住していること)を満たしていないことが公的書類上で明らかになります。

(参照:国税庁「No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等」)

税務署と銀行が直接リアルタイムで情報を共有しているわけではありませんが、税務調査が入ったり、所得証明書を銀行に提出するタイミングなどで、辻褄が合わないことが発覚するのです。

 

契約違反で一括返済を求められる重大なペナルティ

契約違反で一括返済を求められる重大なペナルティ

では、バレてしまった場合、具体的にどのようなペナルティが待っているのでしょうか。

最も恐ろしいのが、住宅ローン残債の「一括返済請求」です。

住宅ローンの契約書(金銭消費貸借契約証書)には、「期限の利益の喪失」という条項が必ず入っています。

期限の利益の喪失とは?

本来なら何十年もかけて分割払いできる権利(期限の利益)を失い、直ちに残りの借金を全額返済しなければならない状態のことです。

契約違反(無断での賃貸転用など)があった場合、銀行はこの権利を行使できます。

もし数千万円のローンが残っている状態で一括返済を求められたら、多くの人は現金で支払うことができないでしょう。

そうなると、家を競売にかけられたり、最悪の場合は自己破産を選択せざるを得ない状況に追い込まれます。

「家賃収入でローンを払おう」と思っていたのに、家そのものを失うことになっては本末転倒ですよね。

 

投資目的とみなされ詐欺罪に問われる違法性

さらに深刻なのが、単なる契約違反を超えて「犯罪」として扱われる可能性です。

最初から賃貸に出すつもりだったのに、「自分が住む」と偽って低金利の住宅ローンを引き出したと判断されれば、それは銀行を騙してお金を借りる行為、つまり「詐欺罪」に該当する恐れがあります。

実際に、投資用物件を住宅ローンで購入させる悪質な業者に関与して、書類送検された事例も過去に存在します。

「知らなかった」では済まされない重い責任を負うことになるかもしれません。

目先の利益のために、社会的信用まで失うリスクを犯すべきではありません。

 

住宅ローン中の賃貸を黙認に頼らず適正に行う対処法

ここまで怖い話ばかりしてしまいましたが、安心してください。

住宅ローンが残っている家を賃貸に出すこと自体が、すべて禁止されているわけではありません。

大切なのは「コソコソ隠れてやる」のではなく、「堂々と正規の手続きを踏む」ことです。

ここでは、リスクを負わずにあなたの資産を守りながら活用するための、現実的で賢い対処法をご紹介します。

 

転勤などやむを得ない事情がある場合の銀行相談

まず一番最初にやるべきことは、借入先の銀行に相談することです。

銀行も鬼ではありません。

「転勤」や「親の介護」、「長期の療養」といったやむを得ない事情で一時的に住めなくなるケースについては、まず一番最初にやるべきことは、借入先の銀行に相談することです。

銀行によっては、転勤や親の介護、長期療養といった事情を考慮し、住宅ローンの返済中でも“賃貸”を一時的に認めてもらえる場合があります。

ただし、これは“可能性がある”だけで、銀行によって対応は異なります。証明できる書類を揃え、事前に金融機関の了承を得ることで初めて選択肢となります。

相談のポイント

  • 書類を用意して正直に事情を話す
    転勤の辞令や診断書など、証明できる書類を持参しましょう。
  • 戻ってくる意思を伝える
    「将来的にまたここに戻って住む予定がある」という意思を伝えることが重要です。

もし、銀行の承諾が得られれば金利などの条件はそのままで、堂々と賃貸に出すことができます。

これならビクビクして過ごす必要もありませんよね。

 

返済が苦しい時は売却やリースバックも検討する

返済が苦しい時は売却やリースバックも検討する

もし、「ローンの返済が苦しいから賃貸に出したい」という理由であれば、賃貸以外の選択肢も検討してみましょう。

無理に賃貸経営を始めても、空室リスクや修繕費の負担で、かえって赤字になることも珍しくありません。

思い切って「売却」してローンを清算するのも一つの手です。

また、家を売却した後も賃貸としてそのまま住み続けられる「リースバック」という仕組みもあります。

今の生活環境を変えずに資金を確保できるため、返済に困っている方にとっては有効な選択肢になるはずです。

そもそも、住宅ローンの返済プラン自体を見直すべきタイミングかもしれません。手元の資金を返済に充てるべきか、それとも運用して資産寿命を延ばすべきか悩んでいる方は、こちらの解説も参考にしてください。

「ローンが払えないから貸す」は危険なギャンブルです

賃貸経営は修繕費や空室リスクがあり、さらに赤字になる可能性があります。

それよりも、まずは「今売却したらいくら手元に残るのか」を正確に把握し、借金を清算できるか確認するのが先決です。

高値で売却できれば、ローンを完済して手元に現金が残る可能性もあります。まずは信頼できる査定サイトで、あなたの家の「本当の価値」を調べてみましょう。

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投資用ローンへの借り換えで正式に賃貸経営へ

投資用ローンへの借り換えで正式に賃貸経営へ

「どうしてもこの家を手放したくないし、賃貸経営として収益化したい」という場合は、住宅ローンから「不動産投資用ローン(アパートローン)」への借り換えを検討しましょう。

住宅ローンに比べて金利は高くなりますが、正当な事業として賃貸経営を行うことができます。

これなら契約違反に怯える必要はありませんし、堂々と入居者を募集できます。

ただし、投資用ローンは審査基準が異なるため、物件の収益性やあなたの属性によっては借り換えができない場合もある点には注意が必要です。

ただし、金利が上がる分、家賃収入だけで利益が出るかは慎重な計算が必要です。実際に持ち家を貸し出す際の収支イメージや、売却との判断基準については、以下の記事で詳しくシミュレーションしています。

 

リスク回避のために定期借家契約を活用する

リスク回避のために定期借家契約を活用する

転勤などで一時的に貸し出す場合、絶対に活用してほしいのが「定期借家契約」です。

一般的な「普通借家契約」だと、入居者の権利が強く守られるため、あなたが家に戻りたいと思っても、正当な事由がない限り退去してもらうことが非常に難しくなります。

定期借家契約ならあらかじめ決めた期間(例:転勤が終わるまでの3年間)が来れば、確実に契約が終了し、家を明け渡してもらえます。

「自分の家なのに自分だけ戻れない」というトラブルを防ぐためにも、契約形態には十分に注意してください。

 

住宅ローンの賃貸は黙認されず危険!賢い選択を

今回は、住宅ローン返済中の物件を賃貸に出すことのリスクと対処法について解説しました。

「黙認されるかも」という期待は、あまりにもリスクが大きすぎます。

銀行は決して敵ではありません。

事情があれば相談に乗ってくれるパートナーです。

隠し事をして毎日不安に過ごすよりも、まずは銀行に連絡して正規の手続きを踏むこと。

これこそが、あなたの大切な資産である「家」と、社会的な「信用」の両方を守るための唯一の正解です。

まずは勇気を出して、金融機関の担当者に相談することから始めてみてくださいね。

【最後に】不動産で資産を守る「正しい知識」を身につけませんか?

今回のように「知らないと損をする・リスクを負う」ことは不動産の世界ではよくあります。

自分の家を守るため、そして将来的に不動産で資産を増やすために、まずは質の高いセミナーで正しい知識を学ぶのが一番の近道です。

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免責事項

本記事の情報は執筆時点の一般的なものであり、個別の契約内容や金融機関の判断を保証するものではありません。具体的な手続きや判断については、必ずご契約中の金融機関や専門家にご相談ください。